横浜市と道志村の友好・交流に関する協定
明治30年に横浜市が道志川より取水を始めて以来、現在も両市村は友好関係が続いています。平成16年6月22日「横浜市と道志村の友好・交流に関する協定書」ならびに「横浜市民ふるさと村に関する覚書」が、締結されました。
◆横浜市と道志村の友好・交流に関する協定書(本文)
横浜市と道志村は、明治30年に道志川から取水を始めて以来、水を通じ、固い絆で結ばれています。その間、横浜市は国際港都として、水源地道志村は緑と清流の郷として、それぞれの風土・地域性を互いに尊重しあう中で、さまざまな交流を続けてきました。
環境の時代といわれる21世紀を迎え、両市村は将来にわたり、相互の理解と友情を深め、地域の活性化に努め、お互いの一層の繁栄と幸福に寄与し、末永く友好交流を行っていくために次の事項について協定を結びます。
1 両市村は、市民と村民が相互に活発な交流を進め、持続的な友好交流が行われるよう努める。
2 両市村は、環境・経済・観光・文化・スポーツその他様々な分野において相互協力を行い、地域の活性化に努める。
3 両市村は、相互の理解により、お互いの繁栄と幸福がもたらされるよう努める。
◆「横浜市民ふるさと村」に関する覚書(本文)
1 「横浜市と道志村の友好・交流に関する協定書」の趣旨を踏まえ、横浜市と道志村は自然豊かな水源地である同村を「横浜市民ふるさと村」とすることに合意します。
2 また、多くの市民が「横浜市民ふるさと村」である道志村を訪れ、多種多様な体験等を通じて自然に親しむ中で、市民と村民との交流が活発に持続して行われるように横浜市と道志村は次の事項について合意します。
(1) 道志村は、別紙の施設について横浜市民が利用する際に優遇措置を講じる。
(2) 横浜市は、市民が道志村を訪れるように必要な措置を講じる。
3 その他、この覚書の実施について必要な事項は、両市村で協議して定める。
横浜市の水源地としての道志村
山梨県南都留郡道志村。丹沢山塊を北側に超えたこの村に、横浜市水道局が経営する広大な水源涵養林があります。
道志村は降雨量が多く、豊かな森林に育まれたその水質は極めて良好で、優れた水源地です。水源涵養林は、世界の船乗りたちに「赤道を超えても腐らない水」と賞賛された道志川の水を私たち横浜市民に安定して送りつづけるために、重要な役割を果たしてきました。
水源不足が恒常化した今日、あらためて森林がもつ水源涵養機能が見直され、その保護・育成が強調されていますが、何といっても、樹木の生育は数十年が1サイクル。長い年月と地味な努力を必要とします。
道志水源涵養林もその歴史は極めて古く、横浜市が大正5年、「横浜水道の源泉を守る100年の体系を樹立すべく」、山梨県から山林約2,800ヘクタールを取得したときから始まります。それから80年余、地元道志村の協力を得て、森林の保護・育成に努めてきました。水源涵養林の育成は、限りある水資源を最大限かつ効率的に活用する上で、最も自然の摂取にかなった方法です。
獅子頭共用栓
横浜市より友好のしるしとして、昭和57年に寄贈されました。
現在も道志村役場前においておいしい水を流しつづけており、今では多くの観光客の方に愛用され、喜んでいただいている。
獅子頭(シシガシラ)共用栓
この獅子頭は、横浜市水道局が明治20年に創設された頃イギリスから輸入したもので共用栓として市内随所に設置され、広く市民に愛されていた貴重なものであります。
当時、獅子頭共用栓からほとばしる飲用水は赤道を超えても腐らない水と褒め称えられた世界一おいしい水でありその水源が我が道志川の清流であります。このことは横浜市民と道志村民との絆を深めて今日に至っております。
この度私たちは、この絆を更に将来に向かって意義あるものとするため、獅子頭の寄贈をいただきここに記念のしるしとして設置したものであります。
沿 革
明治20年 |
日本初の近代水道が横浜に誕生。相模川から取水。 |
明治30年 |
相模川からの取水を支流の道志川に変更、以後、道志川から取水。 |
明治44年 |
水源地方の造林奨励のため、水道水源流域内造林補助規定を制定・実施。 |
大正5年 |
山梨県から道志村所在の恩賜県有林2,780ヘクタールを買収、水源涵養林として経営を開始。 |
大正8年 |
水源涵養林を目的に、森林法に基づく第1期施業計画を実施。(10ヶ年計画)以後、10年ごとに施業計画を実施。 |
大正9年 |
大暴風雨により山津波が発生、水源林が大被害を受ける。 |
大正10年 |
水源林復旧計画として砂防工事(5ヶ年計画)を実施。 |
大正11年 |
私有林81.69ヘクタールを購入。 |
大正12年 |
関東大震災により、水源林は甚大な被害を受ける。 |
大正13年 |
震災後の荒廃地復旧工事(5ヶ年計画)を実施。 |
大正14年 |
水源林の一部が始めて土砂流出防備保安林に編入。 |
昭和6年 |
荒廃地復旧工事を昭和10年まで継続実施。 |
昭和13年 |
農林省が荒廃林地復旧事業(10ヶ年計画)を実施。 |
昭和15年 |
直営事業として木炭生産を開始。木炭の統制が撤廃された昭和25年まで継続。 |
昭和18年 |
農林省が道志川集水区域林野の砂防工事を実施。 |
昭和26年 |
水源林のほとんど全域が森林法に基づく水源涵養保安林に指定される。 |
昭和63年 |
水源林の一部に複層林施業実施。 |
平成3年 |
第8期施業計画を一部変更。 |
平成4年 |
私有林14.39ヘクタールを購入。 |
平成6年 |
水源林整備基本計画調査業務終了。 |
平成7年 |
林野庁より「水源の森百選」に認定される。 |
平成8年 |
第9期施業計画(10ヶ年計画)を実施。 |
平成9年 |
公益信託道志水源基金が発足。
道志川取水100周年記念植樹。
私有林4.22ヘクタールを購入。 |
平成13年 |
道志・森未来植樹祭の実施。 |
平成16年 |
横浜市と道志村の友好・交流に関する協定書締結。
「横浜市民ふるさと村」として合意。 |
平成18年 |
「道志水源林ボランティアの会」の設立。 |
平成26年 |
「災害時における相互応援に関する協定」及び「道志村への水源林木材の寄付に関する協定」締結。 |
平成28年 |
道志水源林100年記念事業を展開。 |